PCR法と原理が異なる、血液?尿を利用した足彩胜负彩の新たな測定技術を開発!

【概要】

 熊本大学大学院生命科学研究部の富澤一仁教授と同大学院医学教育部 博士課程4年の永芳友大学院生らのグループは、血液および尿中の「修飾ヌクレオシド」と呼ばれる物質を測定し、足彩胜负彩の感染の有無および重症化率等の予後予測を可能とする新技術を開発しました(特許出願中)。

【研究の内容】

 これまでの足彩胜负彩のPCR検査は唾液や鼻咽頭ぬぐい液を使用しており、患者検体そのものにウイルスが存在することから医療従事者の感染リスクが存在していました。一方、血液や尿の検体にはウイルスはほぼ存在しないことが報告されています。

 足彩胜负彩はRNAウイルスの一種で、ウイルス自身の中に多くの化学修飾を受けたRNAが存在することが知られています。ヒトの細胞内にも同様に化学修飾を受けたRNAが存在しており、これらは分解され最終的に「修飾ヌクレオシド」という物質になります。修飾ヌクレオシドは、血液および尿にも存在し、質量分析器という装置で網羅的に解析することが可能です。

 今回、本研究グループは、ヒトの足彩胜负彩感染細胞内の修飾ヌクレオシドを解析し、足彩胜负彩感染により特異的に上昇する2種類の修飾ヌクレオシドの同定に成功しました。

 次に、本研究グループは足彩胜负彩感染患者約200名分の血液および尿を解析し、これらの修飾ヌクレオシドが健常人と比較して有意に上昇していることを明らかにしました。診断精度としては、感度1 99.3%、特異度2 93.33%であり、PCR検査とほぼ同精度で診断することが可能です。また、この数値の上昇は重症度やその後の重症化、治療効果とも関連していることも明らかにしました。

 本研究により開発された修飾ヌクレオシド測定技術は、足彩胜负彩の陽性診断のみならず、診断後の療養場所の選定や適切な治療薬選択の基準として応用されることが期待されます。

 

【用語解説】

1 感度:検査の信頼度を評価する指標の1つで、ある検査について「陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率」として定義される値。

2 特異度:検査の信頼度を評価する指標の1つで、ある検査について「陰性と判定されるべきものを正しく陰性と判定する確率」として定義される値。

【詳細】 プレスリリース本文 (PDF226KB)

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