熊本県産の“不知火菊”にしみ抑制効果の可能性を確認~しみの原因に加齢関連タンパク質が関与~

【概要】

 熊本大学大学院生命科学研究部 分子遺伝学分野 尾池 雄一 教授、遠藤 元誉 助教 (平成30年8月より産業医科大学医学部 分子生物学講座 教授)と株式会社再春館製薬所との産学官連携による共同研究において、加齢関連タンパク質であるアンジオポエチン様因子2 (ANGPTL2)の過剰な作用が、皮膚関連細胞株のマウスメラノーマ細胞株注1 )やヒト表皮角化細胞株注2 ) においてしみの原因となるメラニンの産生促進をもたらすこと、また不知火菊注 3 )抽出物がANGPTL2の産生抑制を介してメラニン産生を抑制できることを見出しました。
 本研究成果は、皮膚科学の国際専門誌「Experimental Dermatology」(電子版)に平成30年12月16日に掲載されました。

〈用語解説〉
注1) メラノーマ細胞:しみの原因物質のメラニンを作り出す細胞。メラニンを隣接する表皮角化細胞や髪の毛母細胞に受け渡すことで、肌や髪の暗色化を起こします。

注2) 表皮角化細胞:皮膚の表皮の90%を占める細胞。最終的に角質化し皮膚の表面となり垢として皮膚から剥がれ落ちます。

注3) 不知火菊:学名Chrysanthemum indicum x Erigeron annuus。熊本県不知火地方で観賞用として栽培されている菊で、「お茶として飲むと病気が治る」という言い伝えのもと、ひっそりと民間伝承されてきました。また、他の研究グループからも複数の有用性が報告されている有用植物です。

【論文情報】

<論文名>
“UV-B-activated B16 melanoma cells or HaCaT keratinocytes accelerate signaling pathways associated with melanogenesis via ANGPTL 2 induction, an activity antagonized by Chrysanthemum extract”
(紫外線によって活性化されたメラノーマ細胞や表皮角化細胞はANGPTL2の発現誘導を介してメラニン産生を促進させ、菊抽出物はその活性を抑制する)
<著者>
Gaku Satou, Daisuke Maji, Takayuki Isamoto, Yuichi Oike, Motoyoshi Endo
<雑誌>
Experimental Dermatology
<doi>
10.1111/exd.13862
<URL>
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/exd.13862

【詳細】

プレスリリース本文(PDF955KB)

お問い合わせ

熊本大学大学院生命科学研究部
分子遺伝学分野
担当:教授 尾池 雄一
TEL:096-373-5140
E-mail:oike※gpo.kumamoto-u.ac.jp

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