謎のグルコース代謝経路「ポリオール経路」の生理機能を解明
グルコース(ブドウ糖)は動物にとってエネルギー源でありDNAやRNAなどの生体分子の素にもなる重要な栄養素です。我々人間を含む動物は摂食で増える血中のグルコースを感知してグルコースを利用する仕組み(代謝)をうまく調節する必要があります。メタボリック症候群や糖尿病などの代謝疾患は、この調節がうまくいかなくなる病気です。動物がどのように血中のグルコースを感知しているかはまだ良く分かっていません。
今回、熊本大学発生医学研究所の中村輝教授は、久留米大学分子生命科学研究所の佐野浩子講師らとともに、これまで働きが分かっていなかった「ポリオール経路」と呼ばれる代謝経路がグルコース摂取の感知に重要であることを明らかにしました。この発見は久留米大学循環器病研究所、熊本大学発生医学研究所、同大学生命資源研究?支援センター、群馬大学生体調節研究所、国立遺伝学研究所との共同研究の成果です。
研究成果は2022年6月10日、生命科学系学術誌「PLOS Biology」に掲載されました。
【論文情報】
論文名:The polyol pathway is an evolutionarily conserved system for sensing glucose uptake. (ポリオール経路は進化的に保存されたグルコース摂取感知システムである)
著者:佐野浩子1*、中村輝2、山根万里子3、丹羽仁史3、西村隆史4、荒木喜美5,6、竹本一政5,7、石黒啓一郎7、青木浩樹8、加藤譲9、児島将康1
- 久留米大学分子生命科学研究所 遺伝情報研究部門
- 熊本大学発生医学研究所 生殖発生分野
- 熊本大学発生医学研究所 多能性幹細胞分野
- 群馬大学生体調節研究所 個体代謝生理学分野
- 熊本大学生命資源研究?支援センター
- 熊本大学大学院生命科学研究部附属健康長寿代謝制御研究センター
- 熊本大学発生医学研究所 染色体制御分野
- 久留米大学循環器病研究所
- 国立遺伝学研究所 遺伝形質研究系
掲載誌:PLOS Biology
doi: 10.1371/journal.pbio.3001678
【詳細】 プレスリリース (PDF727KB)
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