骨髄組織損傷時における造血幹細胞の分裂制御メカニズムの解明:体外での幹細胞増幅に向けて

【概要説明】
 熊本大学国際先端医学研究機構の梅本晃正特任助教、須田年生卓越教授らのグループは、血液細胞の源となる造血幹細胞が体内で分裂する時のメカニズムに着目し、分裂時における造血幹細胞のミトコンドリアの活性化の強さが、分裂後の造血幹細胞の運命決定において重要であることを見出しました。造血幹細胞は骨髄移植療法においては骨髄再建の主役となる細胞であるため、これまでに体外での増幅が度々試みられているものの、培養後たちまち分化して造血幹細胞としての機能を失ってしまうため、未だ成功に至っていません。今回の発見は、造血幹細胞を体外で増幅する技術の開発において、非常に重要な知見になると考えられます。
 本研究の成果は、「Journal of Experimental Medicine」に日本時間の平成30年6月27日にオンライン掲載されました。

※本研究は、National Medical Research Council grant of Singapore Translational Research Investigator Award、文部科学省科学研究費補助金(若手研究(B)、基盤研究(S))、公益財団法人 金原一郎記念医学医療振興財団、公益財団法人 新日本先進医療研究財団、特定非営利活動法人「白血病研究基金を育てる会」の支援を受けました。

【論文情報】
タイトル:Ca2+–mitochondria axis drives cell division in hematopoietic stem cells

著者:Terumasa Umemoto1*, Michihiro Hashimoto1, Takayoshi Matsumura2, Ayako Nakamura?Ishizu2, and Toshio Suda1,2*(*責任著者)

所属:1 熊本大学国際先端医学研究機構、2 シンガポール国立大学がん科学研究所

掲載雑誌:Journal of Experimental Medicine
URL: http://jem.rupress.org/content/early/2018/06/25/jem.20180421
DOI: 10.1084/jem.20180421

【詳細】
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熊本大学国際先端医学研究機構
担当:梅本晃正
電話:096-373-6867
e-mail:umemoto※kumemoto-u.ac.jp
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