永青文庫が熊本大学に寄託している貴重資料のうち 新たに9,346点が国の重要文化財に
【ポイント】
- 令和7年3月21日、文化審議会(文化財分科会)は、公益財団法人永(えい)青(せい)文庫(ぶんこ)が所有し熊本大学附属図書館に寄託している貴重資料のうち、古文書9,346点を国の重要文化財「細川家文書」に追加指定するよう、文部科学大臣に答申する予定です。
- 「細川家文書」のうち、織田信長文書群をはじめとする中世文書等266点は、2013年に国の重要文化財に指定されています。今回はそれらに、細川家々伝の資料(御家の宝)と位置づけられた、17世紀初期から明治初期にかけて作成された貴重な史料群を追加するものです。これによって、永青文庫所有の貴重資料のうち国の重要文化財「細川家文書」は9,612点になりました。
- 追加指定文書の中でも特に注目されるのは、戦国武将として著名な細川忠(ただ)興(おき)(三(さん)斎(さい))や、寛永期(1620~30年代)の明君と評価される細川忠(ただ)利(とし)らの発給文書群、忠利やその後継者細川光(みつ)尚(なお)の裁可文書群、寛永末期の細川家代替り(忠利→光尚)に際して家臣たちから相次いで提出された血判(けっぱん)起請文(きしょうもん)群、忠利?光尚の相談役であった沢庵(たくあん)和尚が彼らに送った書状群などで、江戸時代初期の古文書としては質?量ともに類例をみません。さらに、19世紀に家臣団から藩主に上申された意見書?献策書等を取りまとめた「上書」65冊や、熊本城天守に保管されていた細川家歴代当主の甲冑の廃藩置県に際しての行方を示す証文群など、近世中期以降の貴重な文書も多数含まれます。
- 今次の追加指定は、熊本県教育庁文化課所管の永青文庫常設展示振興基金(2008年設置)から資金配分を受けた熊本大学が、永青文庫研究センターを設置し、公益財団法人永青文庫と協力しながら、2009年から約6年半の歳月をかけて作成した「熊本大学寄託永青文庫資料総目録」(約5万7,700点分)のデータを基にして実現されました。基金の創設と基礎調査にご尽力いただいた各位に、深くお礼申し上げます。
[今後の展開]
今回の指定文書群は大名家当主本人の資質、大名家の組織の特質とその転換、幕藩関係、大名家の意思決定、経済、政策形成、社会思想、学問、文化に至るまで、近世日本の社会と国家を理解するための第一級の情報の集積体です。今度の国の重要文化財への指定を契機に、多くの研究者との共同研究を組織して成果を発信するとともに、原本の保全をはかりながら、史料画像の一般への公開を拡大していく予定です。さらに、熊本大学寄託永青文庫資料の全体の指定をめざし、目録と現物との引き合わせ確認作業を継続していきます。
なお、今度の指定史料の原本30点程度を、2025年11月初旬に熊本大学で開催される熊本大学附属図書館貴重資料展にて公開する予定です。また、永青文庫(東京?目白台)でも、研究者だけでなく多くの方に研究成果を分かりやすくお伝えできるような展覧会を計画してまいります。
【詳細】プレスリリース
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*永青文庫研究センター
永青文庫は、肥後熊本54 万石を治めた細川家の下屋敷跡にある、東京で唯一の大名家の美術館です。細川家は南北朝時代の頼有(1332~91)を始祖とし、近世細川家の初代藤孝(幽斎、1534?1610)と2 代忠興(三斎、1563?1645)が大名家の礎を築き、3代忠利(1586~1641)より240年にわたって熊本藩主をつとめました。永青文庫の名称は、中世細川家の菩提寺である建仁寺塔頭?永源庵の「永」、初代藤孝の居城?青龍寺城の「青」に由来します。所蔵品は、細川家伝来の美術工芸品や古文書、そして設立者である16 代細川護立(1883~1970)の蒐集品で、国宝8 件?重要文化財35 件を含む9 万4000 点にのぼります。
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熊本大学永青文庫研究センター
担当:(センター長、教授)稲葉 継陽
電話:096-342-2304
E-mail:inaba※kumamoto-u.ac.jp
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