学術変革領域研究(A)プロジェクト研究 「土器を掘る」デジタルミュージアム開館のお知らせ (デジタルコンテンツの公開開始) ~文部科学省科学研究費助成事業?学術変革領域研究(A)研究成果の公開~

【活動の内容】

 熊本大学大学院人文社会科学研究部の小畑弘己教授(小畑研究室)は、自身が領域代表者を務める2020~2024年度文部科学省科学研究費助成事業?学術変革領域研究(A)「土器を掘る:22世紀型考古資料学の構築と社会実装をめざした技術開発型研究」(研究課題/領域番号20A102)の研究前半にあたる約2年半にわたる研究の成果を広く市民の方々や研究者、さらには世界の人々に知っていただくためにデジタルミュージアムを開館(公開)しました。

 2020年末に始まった本プロジェクトは、土器から土器圧痕などのあらゆる情報を得て今まで考古学者の目には見えなかった真の歴史像を明らかにし、農耕化の人類史的意義を探る研究であり、さらには、この研究で開発された調査手法を遺跡の発掘調査を中心的に実施している埋蔵文化財行政機関へ実装することを目的の一つとしています。

【デジタルミュージアム開館の背景】
 本プロジェクトにおいて、小畑教授らは、「縄文時代末にすでにイネが伝来していたこと」や「外来種と言われていたクロゴキブリが縄文時代以来の在来種であること」など、考古学や年代学、昆虫学においても新たな発見を重ねており、これら成果を国際科学雑誌で公開してきましたが、研究者以外の一般市民の方々にも広く知っていただきたいと考え、プロジェクト開始当初から博物館などでの展示会を模索してきました。
 しかし、多くの来館者がある規模が大きい博物館であればあるほど、展示計画等の関係で、実質4年間という研究期間内に展示会を実現することは難しいと判断しました。さらに、2023年4月1日に施行された博物館法の一部を改正する法律では、博物館の役割として、収蔵?調査資料のデジタルコンテンツ化とその活用の推進が新たに加わりました。小畑教授らが進めている土器中の圧痕資料のX線CTによる記録と3D化はこのような社会情勢にも適合する手法です。また、これらのデジタルコンテンツは、活用面においても、加工が容易で、さらには迅速かつ広範、多くの方々に成果を知っていただくことができます。そこで、小畑教授らは、このデジタルミュージアムをDX社会の中での考古資料学の活用面での先取り手法と位置付け、2022年11月に、実物展示会からネット空間上での成果公開へと舵を切りました。その後、2023年1月~3月にかけて、デジタルコンテンツの収集?作成、展示構成を作り上げました。
 完成したデジタルミュージアムは、平易な文章とイラスト、さらには3D画像やビデオなどを駆使したビジュアル感覚に富むデジタルコンテンツで構成されています。また、英語版も設置し、世界の子供たちに向けてもアピールできる形態としました。

<デジタルミュージアムの構成>

?タイトル:文部科学省学術変革領域研究(A)デジタルミュージアム

『土器の中のタネ?ムシが描く縄文人』? ? ? ?                      ??? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ???(掲載用)『土器の中のタネ?ムシが描く縄文人』.jpg

?内容:
 ?土器は縄文人のメッセンジャー
 ?雑草を食べた縄文人(定住化と栽培の始まり)
 ?害虫の発生:海を渡った害虫:コクゾウムシの世界
 ?縄文人の家に棲んだゴキブリ
 ?不思議な土器(豊穣への祈り):多量種実混入土器?多量コクゾウムシ混入土器
 ?縄文時代にイネは来ていた
 ?土器混和材の世界
 ?分析(結論)

?URL:https://dokiwohoru.jp/frmDefault.aspx 
?HP : http://www.fhss.kumamoto-u.ac.jp/archaeology/earthenware/


【詳細】プレスリリース(PDF791KB)
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お問い合わせ
熊本大学大学院人文社会科学研究部 小畑研究室
担当:小畑 弘己 (教授)
TEL:096-342-2423
携帯:090-6639-8038