令和5年度熊本大学卒業式?修了式 式辞

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 卒業生、修了生の皆さん、本日は誠におめでとうございます。

 桜の花もほころび始めた今日、御来賓各位の御臨席を賜り、部局長、並びに教職員の皆様とともに令和5年度の卒業式?修了式を挙行し、合計2,308名の諸君を送り出すことができることを心から嬉しく思います。

 皆さんは、本学での勉学を終え、門出の日を迎えられました。足彩胜负彩感染症の影響で入学時より、遠隔授業や行動制限を伴った生活となりましたが、それらを乗り越え、今日の日を迎えられましたことに、敬意を表するとともに、改めて心からお祝い申し上げます。この経験は決して無駄ではなく将来に大きく役立つと確信しております。また、この様な環境の中で、皆さんをずっと支え励ましてくださったご家族をはじめ、恩師、友人、先輩、後輩など周りの全ての方々に対し、皆さんと一緒に、改めて感謝とお礼を申し上げたいと思います。

 振り返って海外?国内の状況を見てみますと、ロシアよるウクライナ侵攻は、開始から2年が経ち、昨年10月以降のイスラエルとパレスチナの紛争も未だ収束の兆しが見えません。本年元日の能登半島地震では多くの方が犠牲となり、甚大な被害を受けました。2016年の熊本地震でも大きな被害を受けましたが、多くの方の御支援で復興が順調に進んできました。今回の能登半島地震においても必ずや復興されると信じております。

 本学においては、コロナ渦以前の通常授業や課外活動を再開し、大学祭である「紫熊祭」では、五高記念館を活用したプロジェクションマッピングとジャズの融合企画など、皆さんのアイデアに溢れたイベントなどで大いに賑わいました。私も会場であるキャンパスを散策し皆さんと触れ合うことができましたが、皆さんもようやく友人の顔が見え、心が通いあう大学生活の1ページとなったのではないでしょうか。

 ここで、これから様々な分野に進まれる皆さんに、私から贈る言葉として次の三つを挙げたいと思います。一つ目は、「這い上がる強さ」です。これからの長い人生は平坦な道ではありません。多くの困難が待ち受けています。心が折れそうな時もあるでしょう。そんな時に這い上がる強さを持っていただきたい。必ず谷の次には山があるものです。明けない夜はないのです。二つ目は、社会に出てからの上司や友人を大切にしてください。良い仕事は決して一人ではできません。多くの人が力を合わせるとより良い大きな成果をあげられます。その時に私が最も大切にしてきた事は、自分自身も相手も、双方に良い結果がもたらされるように行動することです。近年、共創(コ·クリエーション)と言われていますが、多様な立場の人々が協力して、お互いがより価値のある成果を上げることが重要です。三つ目は、熊本大学出身であるという誇りを持ち、大学時代の恩師や友人を大切にすることです。長い歴史と伝統のある熊本大学出身であるという誇りを持ち続けてください。私も卒業後、熊本を離れた時も本学の先輩や後輩から助けられ、熊本大学出身で良かったと何度も実感しました。

 現在、熊本県では、世界的半導体メーカーであるTSMCの第2工場の建設も決まり、産業の集積やグローバル化が更に加速しています。熊本はまさに百年に一度の変革期を迎えており、世界においても技術革新や社会の変化が、私たちがこれまで経験したことのないスピードで進んでいます。皆さんも熊本大学出身の誇りを持ち、時代の波をつかみ、若く柔軟な発想で大きく羽ばたいて欲しいと思います。

 本学黒髪キャンパスには、明治時代から変わらぬ姿で学生の皆さんを見守り続けてきた五高記念館をはじめとした全国に誇れる4つの国指定重要文化財の建造物があります。変革の波に疲れたときは、五高記念館、そして懐かしのキャンパスにぜひ足を運んでいただき、学生時代の原点に立ち帰り鋭気を取り戻して欲しいと思います。

 皆さんの今後の人生においてはさまざまな挑戦が待ち受けています。熊本大学で培った知識と経験、そしてコミュニケーションワードである「創造する森 挑戦する炎」を胸に、自信を持って未来に向かって進んでください。

 今後の皆さんのご健闘を心から祈りつつ、卒業?修了に際しての式辞といたします。


                              令和6年3月25日
                                   熊本大学長 小川久雄

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