くまもと水循環?減災研究教育センターは、沿岸域環境科学教育研究センターと大学院自然科学研究科附属減災型社会システム実践研究教育センターを統合するとともに、大学院先端科学研究部所属の地下水拠点研究グループおよび政策創造研究教育センターの関連分野の教員を結集し、平成29年4月1日に発足しました。
熊本県は、良質な地下水に恵まれ、水道水の大部分を地下水で賄う世界的にもまれな「水の都」であります。この地下水を軸とする熊本の水循環システムは、阿蘇から有明海に亘る数十キロ圏内に備わり、豊かな実りをもたらす農地を支えるとともに、有明海?八代海という我が国最大の広さを誇る干潟を産み出し、豊富な水産資源を育んでいます。この水循環は、阿蘇山等の火山活動で長い年月を経て形成された火山性地質と年平均降雨量が3000mm に達する山間地域での降雨の恩恵であります。その一方で、これら自然環境の特質は水害や土砂災害も多発させています。また、活火山である阿蘇山には「噴火」のリスクがつきまとい、有明海?八代海では日本最大の干満差が被害を増大させる「高潮」のリスクに曝されています。さらに最近は、地下水の水位低下や硝酸性窒素などによる水質の悪化、干潟?沿岸環境の劣化や水産資源の減少が深刻化しています。
センターには、地下水循環部門、沿岸環境部門、減災型社会システム部門、地域デザイン部門の4 部門が配置され、上記にみられる熊本の特徴を活かした地下水循環?沿岸環境?減災?地域づくりの研究を総合的かつ実践的に推進し、得られた学術的知見を活用して学生及び社会人の人材育成を行うとともに、さらにその成果を、アジア?モンスーン地域を含めた国内外に発信、展開し、この活動を通じて熊本創生に貢献することを目標としています。それと同時に2016年熊本地震で被災した地域の復興を支援していきます。また、本センターには海洋施設として天草に合津マリンステーションがあり、関連分野のフィールド研究を行うとともに、その地域性と施設を生かして学内外の学生の臨海実習、小?中?高校生や一般社会人への環境教育なども実施しています。
センター長 柿本 竜治